Gacharic Spin@厚木サンダースネイク

類まれな才能を持つメンバーが集結しているガールズバンドGacharic Spin。3月6日にリリースされた1stフルアルバム『Delicious』も評判は上々。バンドのリーダーでもあるFチョッパーKOGAのザッカザカで超ブリブリなベースは勿論、メンバーの持つ才能が凝縮され爆発力満載となった脅威の1枚となっている。



近年、メタル系ガールズバンドが【嬢メタル】と称されムーブメントとなっている。しかし、その実情はレベルの高いバンドは存在するものの、完成されていないバンドも数多く『ガールズバンド＝演奏レベルが低い』と感じているリスナーはまだまだ多い。実はバンドのレベルについては性別は関係しておらず、未熟なバンドがいるのは当たり前の事ではあるのだが、コレは永遠に無くならない誤解・偏見でもある。Gacharic Spinの演奏を聴いた上で、そういった感想が出るとしたら、その人には音楽を聴く才能が無いのであろう。彼女達程、面白い演奏が出来てるバンドは邦楽界にはそう多くは存在していない。Gacharic Spinは【嬢メタル】といった概念を完全に超えているバンドである。


現在、Gacharic Spinは新譜『Delicious』レコ発ツアーを行っている。今回は、2013年4月5日(金）に神奈川 厚木サンダースネイクで行われたライヴのレポートをお届けしたい。会場である厚木サンダースネイクは、音響に特化していて音の抜けがとても気持ち良い。また、ステージがシャッターで開閉されているというのもユニークな良質ライヴハウスである。ほぼ定刻通りにエムクラフトのライヴが始まる。大阪を拠点に活動する４人組バンドであるエムクラフト。そのPOPなメロディーと、ヴォーカリストmanaの力強い歌声が会場を暖めていく。"愛をうたうポップハンター"の愛称で呼ばれるのも頷ける優しさに満ち溢れたステージングを魅せた。続いて、近年着実に知名度を上げてきている４人組テクニカルインストゥルメンタルバンドD_Driveが登場。関西が拠点ながらも、既に関東でも多くのファンが存在している。ギタリストYukiの人気は勿論、ライヴバンドとしての評価や動員数も鰻上りに上昇している実力派である。この日のセットリストは「Russian Roulette」を始めとした攻撃的な楽曲で構成されていた。
（画像はオフィシャルより）
2013年1月24日～27日にアメリカ アナハイムで開催された世界最大規模の楽器ショー『NAMM SHOW 2013』に出演したD_Drive。世界という舞台を経た事が自信に変わった事は間違い無く、ステージング・演奏共に更にレベルアップした印象を受ける。変拍子を多用しながらも、恐ろしい程にソリッドなドライヴィングサウンドを生み出せる実力には感嘆するしか無い。骨折のアクシデントから完全に復活したShimataroのベースプレイも太さと狂暴性を増しており、演奏に更なる疾走感をプラスする。Yuki作曲の新曲「Drive in The Starry Night」も披露。Seijiとの息をもつかせぬツインリードや難易度の高いタッピング等のプレイも含め、かなり複雑な展開をする楽曲であるが、逆に捉えると聴き所が多い曲であるとも言える。数パターンのフレーズを駆使したChiikoのドラムがとても気持ち良く、ツーバス連打を挟みつつも楽曲を壊さず成立させてしまうテクニックとセンスは流石としか言い様が無い。音源化が待たれる佳曲である。8月3日(土）には、東京・渋谷 REXにてD_Drive ワンマンライブ～Driving Rock Revolution 2013 Summer in TOKYO～も決定している。


D_Driveの演奏が終わると、次は本日のメインであるGacharic Spinのライヴがスタート。オレオレオナがダンサー２人を従え、攻めのパフォーマンスを見せ観客を踊らせる。DOLL＄BOXXを始め、オレオレオナのバンドへの貢献度はとても高く、既に無くては成らない存在となっている。普段はセクシー担当だったりとおちゃらけた面ばかり目立つ彼女ではあるが、デジタルのセンスも良くキーボーディストとしても一流であり、更に歌唱力も抜群の凄腕ミュージシャンである。新メンバーであるガチャダン（ダンサー）２人が今回のツアーから参加しているが、彼女達の存在もなかなか面白い。演奏に合わせしっかりとプロフェッショナルなダンスを見せ、ステージを華やかにしている。十代という事もあり、まだ緊張した表情を見せる箇所もあったが、ライヴを重ねる毎に洗練されていくのは間違い無い。プロの世界に飛び込んだプレッシャーも大きいであろうとは思うが、彼女達の存在にマイナス面はほぼ皆無であるので、笑顔で頑張って欲しい。また、興味深かったのは、Gacharic Spinはライヴの方がデジロックしているという事。逆のパターンは多いのだが、しっかりと組み上げてある同期に合わせる演奏力が無いと崩壊してしまうという前提の元、それを成立させているメンバーの実力は侮れない。そして、ライヴの見せ方がプロフェッショナルのエンターテインメントであるという事も特筆したい。現存するガールズバンドでは間違い無くトップレベルである。特にFチョッパーKOGAのプロ意識は素晴らしい。ステージではネーミング通りに、バーサーカー的ベースジャンキーな存在感を炸裂する彼女だが、それも含めて表現者として一流のアーティストである。彼女を見習わなくてはいけないミュージシャンは沢山いる筈だ。ニューアルバム『Delicious』からの「爆弾娘（ボンバーガール）」「今を生きてる ～2013年 春～」「GS★PLANET」「Lock On!!-2013-」といった楽曲を中心としたセットリストでこの日のライヴは構成されていた。

「今を生きてる ～2013年 春～」からは、バンドとしての危機を乗り越え現在に至る彼女達の強い意志が感じられた。FAITH NO MOREをミクスチャーやメタルといったジャンルで括れない様にGacharic Spinもオリジネーターとしての存在感と独自の楽曲センスを持ち得ている。だからこそ、特定のジャンルという毒に犯されていない沢山の若い人にこそ聴いて欲しいバンドである。爆発的なヒットを起こす事が出来うる大きな可能性を持っているガールズバンドGacharic Spin。2013年が飛躍の年となる事を期待したい。




【記事：オトさがライター・江崎】



Gacharic Spin オフィシャルHP

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