多様な価値観の先に
現在地球上には約68億人が暮らしているという。それだけ多くの人間が暮らしているということは同時に、そこには多様な文化や慣習、言語、独自の考え方や歴史が存在するということを意味している。
かつてそれら多様な価値観がエスニックブームとして脚光を浴びたのには、飽食の時代を経て『本当の豊かさとは何か?』といったそれまでの生き方への疑問や、異なる生き方への模索が背景にあったように思われる。そしてそれはまた、心の時代とも呼ばれるこの現代社会の幕開けでもあったと言えよう。
心の時代に響く、あたたかな音楽
ディジェリドゥという楽器をご存知だろうか?オーストラリア先住民のアボリジニが用いる民族楽器で、大地の鼓動を思わせる音色が特徴的だ。
そのディジェリドゥをはじめとした多くの民族楽器を楽曲の中心に据え、独自の『トライバル・ポップス』を展開するデュオ、じぶこんをご紹介しようと思う。
2001年に結成されて以来、愛知万博をはじめアースデイなど数々のイベントに出演してきた彼ら。
ディジェリドゥ独特の低音の響きと、対照的に温かくて伸びやかな近藤裕子の唄声、それらを支える辻岳春の歯切れ良いフラメンコギター。数々の民族楽器と唄が織り成す、初めて耳にするのにどこか懐かしくて心地良い音楽。それがじぶこんの世界だ。
ユニークなのは、彼らが演奏する場所はライブハウスのステージに留まらず、カフェや食堂、時に屋外や個人宅、果てはビニールハウスでも演奏を行ってしまうということ。
そういった彼らのスタンスからは、あたかも草木が大地に根を下ろすかのように、しっかりと地に足を着けて人と向き合い、人の心に唄を伝えたいという思いを感じ取ることが出来る。
本当の豊かさとは?
『本当の豊かさとは何か?』という問いかけに対して、答を出すことはなかなか難しい。それはある意味では、時代を超えて普遍的なテーマであるようにさえ思えるからだ。
簡単には答の見付からないその問いかけに、じぶこんの音楽はきっとヒントを与えてくれるに違いない。なぜなら心の時代であればこそ、彼らのような心に寄り添う音楽が必要なのだから。
じぶこん公式HP