BOØWYの頃から常に海外を視野に入れた楽曲製作をしてきた布袋寅泰。1988年、BOØWY解散後に初ソロアルバム『GUITARHYTHM』を引提げ海外進出に挑戦。先行して、イギリスで「DANCING WITH THE MOONLGIHT」が7インチ、12インチシングルで其々リリースされたが売り上げが奮わずに、発売後間もなく廃盤となってしまう。『GUITARHYTHM』は素晴らしい名盤ではあるのは間違い無いが、海外でのリリースが不可能な状況に陥ってしまい、結果的には初の海外進出は失敗に終わってしまった。しかし、その結果に布袋自身は更に世界への挑戦への熱意を燃やす事になる。自身の作品をGUITARHYTHMシリーズとしてソロ活動を展開。ハウス・テクノといったジャンルとロックの融合。マイケル・ケイメンやジグジグスパトニックのニールX、ジーザスジョーンズのマイク・エドワーズとの共演・共同制作。アトランタオリンピックの閉会式への出演。1996年には、あのデヴィッド・ボウイの来日公演で奇跡の共演も果たすなど、自身のレベルアップと探究心に満ち溢れた活動を繰り広げた。シングル「スリル」のメガヒットから、モンスターアルバム『king and Queen』でエンターテイメントとしての音楽を極め、完全に日本ロック界での地位を確立する事に成功した。
しかし翌年、問題作と言われた本作は海外発売を切っ掛けに予想を超えた展開を見せる。「Supersonic Generation」はヨーロッパ15ヶ国で発売が決まり、布袋は海外の有名なフェスティバルに出演しライヴを大成功させる。その勢いは止まらずに、REMIXアルバム「BATTLE ROYAL MIXES2」は、ドイツのナショナルチャートの5位にランクインされるという快挙を見せる。
ELECTRIC SAMURAI
更に、2003年にはクエンティン・タランティーノ監督の映画作品『キル・ビル』にて使用された「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が話題になり、一躍世界で注目される存在へと変貌する。海外からの要望で製作されたギターインストアルバム『ELECTRIC SAMURAI』を翌年にリリース。ロシアではいきなり6位にチャートインするという快挙をみせた。リマスタリングはイアン・クーパー氏によって施されて、ギターが前面に押し出されたサウンドになっている。初期の曲である「METROPOLIS」は改めて聴いてみるとEBM系なサウンドが格好良く、そのギターサウンドは非常に個性的である事に気付く。ラストの「Howling」「Fetish」の2曲で日本人特有のメロディと泣きのギターを聴かせ、綺麗に作品を締めているのも見事である。本作を以って、布袋寅泰の海外進出の野望は完全に成就したと言っても良いだろう。
世界への挑戦 再び…
2011年にリリースされた『ALL TIME SUPER GUEST』では、布袋の影響を受けた様々なジャンルのミュージシャンがゲスト参加し、非常に面白いコラボレーション作品となった。音楽界を問わず、様々な人間にリスペクトされる存在となった布袋寅泰。COMPLEXの再結成という、ファンにとっての大きな夢も叶えてくれた。活動30周年を期に、布袋が次に選んだ目標。それが更なる世界進出であった。素晴らしい決断である。その姿勢に心を打たれ、自身の仕事や夢、生活への熱意を取り戻したファンも多く、ツイッターでは布袋を激励するコメントが殺到した。
(画像は公式HPより)
6月18日(月)・19日(火)には、日本武道館で布袋寅泰とオーケストラが競演する【GUITAR × SYMPHONY】公演が行われる。「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」を組曲に再構築するなど、BOØWYのナンバーを始めとした数々の名曲のアレンジにも力を入れているそうだ。そして、12月18日にはLONDON「Roundhouse」でのライブも決定。自身のブログにて「ロックの発祥の地ロンドンで、一から腕試しをしたいと思います。」とその決意を表した。