7月29日(日)FUJI ROCK FESTIVAL’12
日本を代表する野外ロック・フェスティバル、
フジロック・フェスティバル’12が、7月27日(金)、28日(土)、29日(日)に新潟県湯沢町苗場スキー場にて3日間開催。今回は、3日目、7月29日(日)のライブレポートをお届け!
(画像提供:FRF'12事務局/photo by 宇宙大使☆スター)
最終日の最初のステージは、新人であるのにも関わらず、今年の
フジロック・フェスティバル’12の出演が決定し、話題を集めた英リーズ出身の4人組ロック・バンド、
アルト・ジェイ。6月27日に、デビューアルバム
『An Awesome Wave』をリリース!デモ音源
「ブリーズブロックス」は、僅か半年で
SoundCloudの再生数7万回を記録し、話題となっていた。
RED MARQUEEには、その話題性からか、大勢の
オーディエンスが駆け付けていた。落ち着いたブルーの照明が、独特な雰囲気を醸し出す。そして、
アルト・ジェイのメンバーがステージに登場!ライブ1曲目は
「Intro」からスタート!場内にゆっくりと静かにサウンドが浸透させ、バンド自らフォークステップと称するように、ダブステップとフォークサウンドを融合させた音楽性に底しれない可能性を受けた。
続く、アカペラ調の
「Interlude 1」では、優雅な重厚感のあるハーモニーに息を呑んだ。不思議なのは、サウンド的に音響系よりなのだが、ボーカル、
ジョーの歌唱力、声質によって良質なバンドサウンドが成立しているのだ。気温も上昇していく中、涼しげなメロディーに陶酔。そして、ラスト曲
「Taro」では、ダブとクラシック的な要素を取り入れたサウンドを奏で上げ、独特な緩さと穏やかさに引き込ませてくれたステージだった。
(画像提供:FRF'12事務局/photo by Masanori Nasuse)
お次は、同じく
RED MARQUEEに出演した、米ミネソタ州ミネアポリス出身の5人組バンド、
ハウラー。しかし、ステージに登場したのはメンバー4人だけだった。ステージ上を確認しながら、1曲目
「Wailing (Making Out)」の演奏が爆音と共に始まった。今回、初めて
ハウラーのステージに立ち合ったわけだが、サーフロックとパンクを合体させたサウンドで、荒々しくギターを搔き毟る。久々に現れたUSインディ・バンドということで
ストロークスと比較されることが多い。確かに歌声は、
ジュリアンに通じるものがあった。ラスト曲の
「Back Of Your Neck」では、場内から手拍子と歓声が沸き上がって、軽快なリズムに開放感が弾けだし、身を委ね躍り明かす
オーディエンスの姿が印象的であった。
そして、最終日、最後のステージは、ヘッド・ライナーの
レディオヘッドだ。今回の
フジロック開催前の6月、カナダ・トロントの野外フェスでのステージ崩壊事故により、バンドのドラム担当スタッフが死去。機材の破損などからツアーを延期していた。
フジロックへの出演についても危ぶまれたが、7月上旬、ツアー再開が発表され、予定通り
フジロックへ出演することになった。予期せぬアクシデントに見舞われながらも、ここ日本に来日してくれたという事実だけで胸が詰まる思いだ。
(画像提供:FRF'12事務局/photo by Masanori Nasuse)
GREEN STAGEは、相変わらずの暑さだったのと、そこに寝不足も重なり体力的には限界に近かった。暗い森の中、オーディエンスの視線がステージに集中していく。薄暗い照明が照らされ、そっとステージに現れた
レディオヘッドのメンバー!大歓声が鳴り響く中、昨日の
ノエル・ギャラガーとは、全く異なる空気感を漂わせ、ライブ冒頭
「Lotus Flower」の演奏が始まった。静寂から激情へと変化していく瞬間を体感していくような感覚が流れ出す。続く
「Bloom」では、浸食されてしまいそうなメロディーと、中毒性を増している
トム・ヨークの歌声に支配される。
(画像提供:FRF'12事務局/photo by Masanori Nasuse)
ここで、感じたことは、過去に
レディオヘッドのステージを何度か拝見しているが、
トムの歌声が、明らかに過去とは異なっていた。ちょうど活動中期頃で、この頃の
トムの表現には、苦渋に襲われているような緊迫感があった。だが、今回の
フジロックでの彼の歌声に前向きな解放感を感じてしまった。だからといって決して、ネガティヴさが消えたわけではない。不穏、狂気、美しさなど、そういった特徴的な部分は健在なのだ。
頭の中に、
「降参…降参…降参!」とワードを巡らせながら、
「Kid A」、
「Pyramid song」、
「There There」などの名曲が繰り広げられていく。別世界にいるような錯覚すらおきていた。そして
「Idioteque」のダブステップ風の変貌ぶりに驚愕しつつ、無我夢中で躍り狂う。終焉のカウントダウンが近づき、怪しげなエレクトロサウンドと微かなノイズが反響する
「Everything In Its Right Place」に圧倒され、放心状態となっていた。
(画像提供:FRF'12事務局/photo by Masanori Nasuse)
そして、
トムが
「おやすみなさい」と呟き
「Paranoid Android」を披露!ダークでフォーキーな世界観に染め上げてラストを締めくくった。予想はできたが、やはり
「Creep」のお披露目はなかった。現在の彼等の音楽性を考えてみれば理解はしている。神のみぞ知るといったところだが、
「Creep」を演奏する彼等の雄姿を逃したくないという、永遠の願いを残し苗場を後にした。
今年の
フジロック・フェスティバル’12では、7月26日(木)の前夜祭を含み延べ
140,000人の来場者数を記録!過去最高の動員数となった。そして、13年ぶりに全日快晴という奇跡的な天候に恵まれ、濃厚で熱い3日間が終了した。
【記事:オトさがライター・成田 早那】

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