シンプルなロックで風格をみせつけたBEADY EYE
さて続いてお届けするアーティストは、
元Oasisの
リアム・ギャラガー率いる
BEADY EYE。2009年8月
Oasisから
兄ノエル・ギャラガーが脱退。バンドのリーダーで中心的な人物が不在となった
Oasisは事実上解散(涙)そして、それぞれのソロ活動に注目が集まっていた。
そんな中、いち早くソロ活動をスタートさせたのは
弟リアムだった。2009年10月
Oasis解散後わずか2か月で
元Oasisのメンバー、
ゲム(Gt)、
アンディ(BaからGtへ変更)、新メンバーの
クリス(Dr)の4人で
BEADY EYEを結成し、レコーディングを開始する。2010年11月にデビューシングル
「Bring The Light」と2011年2月日本先行発売、1stアルバム
『Different Gear, Still Speeding』をリリース。日本ではオリコンウィークリー5位、全英3位という好調な出だしでデビューを飾った。本来、この1stアルバムを引っ提げて、今年5月にジャパン・ツアーが決定していたが、震災の影響で延期となったため、今回の
サマーソニック11で
BEADY EYEとして初来日を果たした。
BEADY EYEのライブを初めてみられる事もあり、少し早めに
MARINE STAGEのアリーナへと向かった。移動中、気がかりだったのは
今日のリアムのご機嫌度である。「ご機嫌なリアムは無敵だけど…」と思っていたが、レーベルの公式Twitterでバンド全員ご機嫌だと知り少しホッとして
MARINE STAGEへ到着。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
MARINE STAGEにも徐々に人が増えてきた。気付けばアリーナもスタンド席も人で埋め尽くされていた。開演が夕方だったこともあり、ほんの少しだけ太陽の日差しが優しくなる。開演時間が近づくと、自然に
「リアム!」と呼ぶ声が増えてきた。そして堂々とステージに登場したメンバー。大歓声で迎えられたが、
リアムの姿をみて呆然としてしまう。この猛暑の中、
リアムは
カーキ色の
モッズコートを着用して登場!いくら夕方とはいえ、猛暑は猛暑!あの声量で歌って大丈夫なのか?と逆に心配してしまったが、一曲目
「Four Letter Word」の演奏が始まると、オーディエンスから大歓声が沸き起こり、力強い
リアムの歌声が会場内に響き渡った。それと同時に
リアムのご機嫌度も伝わってきて、今日はラストまで安定した歌声を堪能できると確信ができた。
続くシンプルなロックナンバー
「Beatles And Stones」、ブルージーで爽やかなメロディーの
「Millionaire」をいつものようなスタイルで歌い上げ、熱を帯びたまま4曲目
「The Roller」が始まると会場から歓声が上がり、一緒にリズムに合わせて踊る人や歌う人々の姿で溢れかえった。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
ライブ中盤の
「Bring The Light」では、さらにヒートアップし、会場内が熱気に包まれていった。そして7曲目
「Kill For A Dream」の演奏が始まった。この曲は、今年3月11日に発生した
東日本大震災から2日後の13日に、
BEADY EYEがパリでの公演中、歌う前に
リアムがひとこと
「日本の人々に捧ぐ」と伝え演奏された曲なのだ。いかにも
リアムらしい選曲で日本に対する特別な思いを感じることが出来た。しっとりと優しく歌い上げる
リアムの歌声は格別だった。ステージに立ってシンプルに歌い上げれば、
BEADY EYEのステージはそれで成立してしまうのだ。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
それから
「The Beat Goes On」などが披露され、11曲目
「The Morning Sun」でのアレンジは非常に素晴らしく、出だしの静かな波の音がゆっくりと流れだし、ギター音が少しずつ絡んでいく。そこに情熱的な
リアムの歌声が重なって程良い浮遊感を味わうことが出来た。その余韻を引き連れたまま、サイケデリックなロックナンバー
「Wigwam」に酔いしれ、ラストはWorld of Twistのカバー曲
「Songs Of The Stage」をシャウトするように歌う
リアムに、ひたすらシンプルにロックン・ロールと向きあってきた彼の潔さを再認識することが出来た。
Oasisではない。
BEADY EYEの
フロントマン、
リアム・ギャラガーという風格が強く滲み出ていたライブであった。
(成田 早那)
続く【オトれぽ】ライブレポートNo.5サマソニ編③では、
MARINE STAGEに登場する、
The Strokesのライブレポートをお届け!
「BEADY EYE公式HP」「SUMMER SONIC 2011公式HP」