BATTLES JAPAN TOUR 2011@ SHIBUYA-AX
2011年4月に待望の2ndアルバム
『GLOSS DROP』をリリースした知性派ライブバンド
バトルス。今年はZETTAI-MU(大阪)、Sonar Sound Tokyo、フジロックフェスティバル11の出演に続き、ヘッドラインツアーのため3度目の来日となる。そして今回は
11月11日(金)ツアー最終日の
SHIBUYA-AXでの公演を観賞するため会場へと向かった。
今作の
『GLOSS DROP』だが、新作完成前に旧メンバーのボーカリストである
タイヨンダイ・ブラクストンが急遽バンドから脱退!しかし残ったメンバー3人で、
タイヨンダイのボーカルパートを取り除き、残された音源で新たに新作を作成するという手法を取る。そしてボーカルパートには多彩なゲストボーカルを迎え、この
『GLOSS DROP』を完成させた。実は、
新生バトルスの公演を観賞するのは今回が初めてとなるため、ライブの定評が高い彼等のステージを観ることができるとあっては期待せずにはいられない。
この日の東京は、冬の到来を感じるほど気温が下がったのに加え静かな雨が降り続いていた。しかし、会場に到着すると全く外とは別世界。物販ブースは異常な盛り上がりをみせていた。人混みで混み合う中、急ぎ足で2階の指定席へ向かった。今日は
バトルスの公演前に、ゲストである
にせんねんもんだいのライブもある。指定席に座りながら少し考えて、やはり1階席でライブが観てみたくなり慌てて1階席へ降りたが、本日のチケットはソールドアウト。1階席はどこもかしこも超満員。しかし、なんとか会場の後方でステージが観やすい場所をみつけ、そこに留まることにした。
(画像提供:BEATINK/Photo by Masanori Naruse)
しばらくして、
にせんねんもんだいのメンバーが衝撃的なステージを披露!会場内の熱気を高めていた。ゲストの演奏が終了し、遂に
バトルスのステージのセッティングが始まる。それと同時にステージ前方に移動する人々で溢れかえり、全くステージが見えなくなってしまった。そのため、再び2階席へと戻り指定席でステージのセッティングの様子を眺めていたが10分、15分経過してもセッティングが終わらない。なにかステージに仕掛けでもしているようだった。
(画像提供:BEATINK/Photo by Tadamasa Iguchi(Qetic))
セッティング開始から20分ほど経過した頃、ようやく
バトルスのメンバー3人がステージに登場!オーディエンスから大きな拍手と奇声にも近い大歓声が地響きのように上がる。そして1曲目
「Africastle」の演奏が始まった。サウンドとリズムが静かに奏でられ、徐々に高揚感を増していき、心地いい電子音とジョンの圧倒的なドラミングで会場内のテンションがヒートアップしていった。
(画像提供:BEATINK/Photo by Tadamasa Iguchi(Qetic))
続く2曲目は
Blonde Redheadのボーカル、
カズ・マキノをゲストに迎えた
「Sweetie&Shag」を披露。今回はステージ中央に長方形型のLEDパネルが2つセットされ、そこにゲストボーカルの歌う姿が映像で映し出されるという演出がされていた。しかし、この日はスペシャルゲストとして、
カズ・マキノ本人もステージに登場し艶っぽく刹那的に歌い上げ、会場内を盛り上げていた。そして3曲目の打楽器と電子音のサウンドが印象的な
「Dominican Fade」と、4曲目となる彼等の代表曲
「Atlas」の演奏が始まると、会場全体が一斉にお祭り状態。会場中に無数の音符が降り注いでいるようだった。
(画像提供:BEATINK/Photo by Masanori Naruse)
それから5曲目
「Wall Street」と
「Tonto」が演奏されていったが、
「Tonto」から7曲目
「Ice Cream」の流れはお見事というしかない。彼等は皆が楽しむツボを心得ていて、それがごく自然に伝わってくる。だから楽しい気持ちで心が満たされるのだと確信することが出来た。その流れのまま爽やかなサウンドと独特なテンポが印象的な
「Inchworm」と9曲目
「My Machines」の演奏が流れ始めた。この楽曲では、80年代の英国エレクトロ・ポップのパイオニア、
ゲイリー・ ニューマンがゲストボーカルで参加。小刻みにドラムのシンバルと電子音が鳴り響き、そこに渦巻くような重低音のベースが重なって、
ゲイリー・ ニューマン特有のパンクっぽい歌声に陶酔してしまった。
(画像提供:BEATINK/Photo by Masanori Naruse)
9曲目が終了したあと、メンバーの
デイヴ(Ba/Gt/Ef)が日本語でご挨拶。
「ワタシハ、デイヴ・コノプカデス。アリガトウゴザイマス。ダイジョウブ?」とオーディエンスに確認するように挨拶。オーディエンスからも
「大丈夫!」や
「ヤバイ~!」という声が上がると、
デイヴも
「ヤバイ~!」と返し会場内が笑みで溢れた。そしてラスト曲の
「Future」の演奏では、様々な楽器のサウンドが絡み合う中、ごちゃごちゃしないで聴かせてくれるのは、彼等ならではの職人技だと勝手に納得するのであった。ラスト曲の演奏が終了し、メンバー3人がステージを降りていったが、もちろん会場内からアンコールを煽る拍手が沸き起こり、その拍手は次第に力強くなっていった。
(画像提供:BEATINK/Photo by Tadamasa Iguchi(Qetic))
5分程経過し、ステージ上に
ジョン(Dr)を除いた、メンバー2人が登場!そしてアンコール曲
「Sundome」の演奏がスタート!キラキラと輝くサウンドとメロディーにときめきが止まらない。楽曲の中盤、
ジョン(Dr)が静かにステージに登場し演奏に加わると、次第にキラキラしたメロディーから情熱的で切ないメロディーに変化し、高揚感に包みこまれながら
新生バトルスのステージが終了した。3人編成になってそれぞれ別の作業が増えていたが、細部まで拘った濃密な演奏と幸福感で終始心が満たされっぱなしのステージを堪能することが出来た。
(成田 早那)
BATTLES JAPAN TOUR 2011@ SHIBUYA-AX 2011/11/11(金)-セットリスト-
1. Africastle
2. Sweetie&Shag
3. Dominican Fade
4. Atlas
5. Wall Street
6. Tonto
7. Ice Cream
8. Inchworm
9. My Machines
10. Futura
-アンコール-
11.Sundome
(画像提供:BEATINK/BEAT RECORDS)
BATTLES
『GLOSS DROP』
2011/4/27 ON SALE
WARP RECORDS / BEAT RECORDS「BEATINK公式HP」