第2章の幕開けをみせつけたThe Strokes
2001年8月1stアルバム
『Is This It』にてデビューした、アメリカの5人組ロック・バンド
The Strokes。2000年代のロックンロール・リバイバルの代表的なバンドで、今年4月、前作から約5年振りとなる待望の最新アルバム
『Angles』を発表。このアルバムを聴いたとき、賛否両論の意見が多いアルバムになるだろうと思った。何故ならこれまでリリースされたどのアルバムとも一致しない。オルタナでもインディーでもガレージでもない、どちらかというと
ポストパンク、もしくは
ニューウェーブが強調された作品に思えた。音楽性が変化するとライブの方向性を予測するのは困難だ。正直、彼らのライブアクトをみるまで少し複雑な気分だった。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
BEADY EYEのステージが終了したあと、先日の疲労感からスタンド席へ移動して、
The Strokesを観察するように観てみようと考えた。スタンドの席に座って見下ろしながら、ステージが見やすい席を選ぶ。辺りを見回すと、すっかり日も暮れていた。アリーナ側は、既に大勢のオーディエンスで埋め尽くされていた。このバンドに対しての期待度の高さが伝わってくる。
遂に会場内の照明が落とされ、ステージに
メンバーが登場すると大歓声と拍手が止まらなかった。会場内が興奮状態の中、1曲目
「Is This It」のギター音が聴こえてきた。「1曲目がこの曲だったら、ラストはあの曲か?」と心の中で思いながらも、
ジュリアンの下から突き上げてくるような低音の歌声に夢中になる。そして映像と照明の演出に目が離せなくなり、一瞬ここが
MARINE STAGEだという事も忘れるくらい
ファンタジックな空間を作り上げてくれた。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
続いて唸るようなギターサウンドが特徴の
「New York City Cops」に心奪われ、3曲目では最新アルバム『Angles』からの先行シングル
「Under Cover Of Darkness」の演奏が始まると、会場内のテンションが異常なほど上昇していった。それから4曲目
「The Modern Age」では
The Velvet Undergroundを彷彿とさせるサウンドで、
ジュリアンの歌声にうっとりしてしまった。さらに5曲目で、最新アルバムの
「Machu Picchu」の演奏が始まったのだが、一瞬で複雑な気持ちも消え失せた。
ジュリアンの声質がそうさせてしまうのだろう、ポップでエレクトロの要素が強い演出でくるかと思っていたが、やはり
The Strokesは違う!おもいっきりロックテイストで新曲を披露してくれた。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
ライブも半ばに差しかかり、神業級のギターのフレーズが印象的なナンバー
「Reptilia」や
「Someday」が演奏され、8曲目ではスローテンポで切なく寂しげなメロディーを奏でる
「Life Is Simple In The Moonlight」など、会場全体がステージに吸い寄せられる。後半12曲目では、最新アルバムから
「You’re So Right」の演奏がスタート!怪しげな低音ベースでリズムを刻み、ミステリアスな雰囲気を醸しだすのであった。新旧の楽曲がバランス良く奏でられる中、15曲目
「Hard To Explain」は小刻みで一定のリズムが印象的なナンバー。途中で演奏が止まったかと思えば、また演奏が始まって同じように小刻みで一定のリズムで進んでいく楽曲。終わり方もピタッと止まる感じがとても
クールなのだ。
そしてラスト18曲目は、定番の
「Take It Or Leave It」だ。1曲目が
「Is This It」であれば、終わりの曲は
「Take It Or Leave It」になる事が多い。まれに違う時もあるのだが、ほぼ定番といっていい組み合わせなのである。ただこの曲は同時にライブの終わりを意味する曲だ。突然、寂しさが込みあげてきたが、なんと演奏中にステージ裏側から、フェス恒例の
花火が打ち上げられた。ステージの照明と花火の輝きが合わさって、その美しさに目が反らせなくなる。そして
「Take It Or Leave It」の演奏が終了すると、会場内の興奮は最高潮に達していた。
The Strokesは圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了し、強烈な存在感を残してステージを後にした。
(画像提供:(C)SUMMER SONIC 2011 All Rights Reserved.)
(成田 早那)
続く【オトれぽ】ライブレポートNo.6サマソニ編④では、
MOUNTAIN STAGEに登場する、
the telephonesのライブレポートをお届け!お楽しみに!
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